オフィスラブはじまってました



 一緒にアパートを出て、柚月と同時に部屋に鍵をかけながら、ひなとは思っていた。

 ヒムラさんちは鍵かける意味あるけど、うちはないよなーと。

 まあ、カップ麺と寝袋が必要な人がいれば別だけど。

 ……遭難した人かな。

 この街中で遭難する人。

 私のような方向音痴だろうか、と思いながら、一緒にまた住宅街の道を歩く。

「貴重なお休みなのにすみません。
 お仕事忙しいんじゃないですか?」
と言うと、柚月は沈黙する。

 ……な、なにか触れられたくない職種だとかっ?

 頭の中で、柚月が公安になったり、スパイになったり、忍者になったり、大怪盗になったり、釜茹(かまゆ)でにされたりしていた。
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