オフィスラブはじまってました
 手が離せないときなど、顔見知りだと自分でやって、と言われてしまうようだった。

 柚月が水を用意し、ひなとがその近くにあったおしぼりを運ぶ。

「座っててよかったんだそ」
と言われたが、

 いやそんな、柚月さんにやらせて座ってるとか落ち着きませんよ、と思っていた。

 ……まあ、普段から、野外炊事は、ほとんど柚月たちさんがやってくれていて。

 私は、食器洗うの手伝うくらいしかやってないんだけど……。

 日焼けした古い布張りの椅子は厚みがあって、ふかふかだった。

 一度座ったら、立ち上がりたくない感じだ。

 特にちょっと疲れている今とか。

 外から見たときは、決して中に入ってはいけない怪しい喫茶店に見えたのだが、その椅子と辰子の気さくな雰囲気のせいか、妙に落ち着く。
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