オフィスラブはじまってました




「車借りるから」

 居間に行った柚月は親たちにそう言ったあとで、家族がひなとに驚き、ガン見していることに気づき、紹介してくれた。

「ああ、この人はうちのお隣さんの秋本ひなとさん」

「秋本ひなとです。
 突然、すみません。

 ヒムラさんにはお世話になっております」
とひなとは頭を下げたあとで、

 待てよ。
 これだと長くお世話になっている隣人みたいだな、と気がついた。

 いえいえ、まだ、知り合ったばかりの新参者なんですけどね、という思いを込めて、

「えーと……ヒムラさんには、今日からお世話になっております、秋本ひなとです」
と言い換える。

 えっ? 今日からっ?
という顔をする柚月の家族に、あっ、と気づいて、ひなとは言った。

「すみませんっ。
 ヒムラさんには、って言っちゃいましたけど。

 ご家族の方も、みなさん、ヒムラさんでしたね」

 はは、と苦笑いするひなとを眺めながら、全員が、いや、気になるのはそこではない、という顔をしていた。
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