オフィスラブはじまってました
「何度でも言ってやる。

 ひなと。
 お前が好きだ。

 七月に結婚してくれ」

 そこで柚月は一旦、止まり、
「……どうしても、七月に結婚してくれまで一緒に出てきてしまうな」

 洗脳だ、と呟いた。

 つい、笑ってしまったひなとの寝袋のファスナーを、今度は訊かずに半分さげ、柚月が口づけてくる。

 半分だけ寝袋から出ているひなとを見て柚月は言った。

「ミノムシの殻を脱がせても、ハムスターが出てくるだけだと思っていたが。
 そうしてると、人魚姫みたいだ」

 ……下半身だけ寝袋に入っているせいでしょうか。

 いえいえ、買いかぶりすぎですよ、とひなとは俯き、赤くなる。

 柚月が微笑み、もう一度口づけてきた。





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