オフィスラブはじまってました
 流星はいつまで経っても見えてこなかったが、二人でこうして夜空を見上げているだけで幸せだな、とひなとは思った。

「澄子さんに騙されて……

 いや、騙されたわけじゃないですけど。

 ハッピーエンド荘に来て。

 幸せになりましたけど、此処を出て行きたくないです。

 ハッピーエンドにもなりたくないし」

「なんでだ?」

「いや、エンドだとそこで終わりじゃないですか。
 このまま続いていきたいかなって」

 柚月はひなとを黙って見つめたあとで、

「……そうだな。
 俺もだ」
と言う。
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