オフィスラブはじまってました
こんなに緊張して家電量販店に来たのは初めてだ……と思いながら、ひなとはガラス張りの大きな家電量販店に入る。
入り口のポイントマシーンでポイントをつけたいけど、言い出すの恥ずかしいな~、
とひなとが思っていると、横にいた柚月が、ふいに、
「ポイント」
と言ってきた。
は? と見上げると、柚月はこちらを見下ろし、
「つけないのか?」
と訊いてくる。
「あっ、もしかして、ヒムラさんもいつもポイントつけてるんですかっ?」
と嬉しくなって訊いてみたのだが。
柚月は、
「いや、俺は此処のポイントカードは持ってないんだが。
今、子どもたちが楽しそうにやってたから、お前もやってみたいんじゃないかと思って」
と言う。
柚月の視線は、スロットで当たるとたくさんポイントがつくポイントマシーンの前で、はしゃいでいる子どもたちを向いていた。
ヒムラさんの中では、私とあの子たちは同じ枠に入ってる感じなのだろうか……。
とちょっぴり寂しくなりながらも、スロットはしっかりやってみた。
「やったっ。
5ポイント当たりましたよっ」
と8等なのに、うっかり、はしゃいでしまったひなとを柚月は、そうかそうか、よかったな、という目線で微笑ましげに眺めている。
……やはり、完全に子ども扱いされているようだ、と思いながら、エスカレーターに乗る。
せっかくイケメン様とお出かけしているのだから、少しは大人のいい女風に振る舞ってみたいとか思わなくもないのだが。
そもそも、そのような素地がないので。
……ま、無理しない方が無難だな、とひなとは、そうそうに諦めた。