オフィスラブはじまってました
昨日の騒ぎが嘘のようだな。
静かな日曜の午後。
柚月は珈琲を飲みながら、ソファで本を読んでいた。
もうちょっとで読み終わるから、これもあのバナナハムスターに貸してやるかと思いながら。
しばらく本に集中していたが、読み終わり、ふと顔を上げたとき、柚月はアパートの前を横切る人影に気がついた。
なんか盗人みたいなものがやってきた……。
よくある盗人の絵のような格好で風呂敷包みを背負った女が道を歩いていたのだ。
いや、よく見たら、大きな黒いリュックを背負った上に、風呂敷を載せて首元でつかんでいただけだったし。
その風呂敷も今どきの女子好みの柄だったのだが。
なんだか、そこはかとなく、盗人に見えた。