翠玉の監察医 日出づる国
ニ 遺族の願い
「ハアッ……ハアッ……」

蘭は荒い息を吐きながら目を覚ます。また悪魔を見てしまった。蘭はベッドに座り、両手で顔を覆う。

「星夜さん……」

しばらく顔を覆った後、蘭の顔は苦しげなものではなくいつもの無表情に戻っていた。蘭はワンピース型のパジャマから白いブラウスとジーンズに着替え、胸元にエメラルドのブローチをつける。そして、ブローチにそっと触れた。

「おはようございます、碧子先生」

「おはよう、蘭ちゃん」

世界法医学研究所の所長であり、同居させてもらっている紺野碧子(こんのあおこ)に蘭は挨拶をし、椅子に座る。

「今日は洋食にしてみたわ」

蘭の目の前に、おいしそうなトーストやサラダなどが置かれる。蘭は「ありがとうございます」と言い食べ始めた。

「そうだ!今日の天気はどうかしら」

碧子がテレビのリモコンに触れ、テレビをつける。パッとつけられたニュースでは、交通事故のことが報道されていた。
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