悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 不意に視線を感じ、レオンティーナは視線を巡らせる。少し離れた建物からこちらを見下ろしている男。彼の顔には見覚えがあった。

(……なんで、こんなところにあの人がいるのかしら)

 彼は、この国が崩壊への一歩を踏み出す原因を作った男だ。どうして、レオンティーナの処刑に立ち会っているのだろう。
 彼の視線と、レオンティーナの視線がたしかに絡み合う――。レオンティーナをにらみつけていたくせに、先に目をそらしたのは、彼の方だった。

(まあ、いいわ。あの人が何を考えてここに来ていたかなんて私には関係ない)

 処刑台に、膝をつき、首切り役人に首を差し出す。自分の命が、あと数分しかないことを悟っていても、妙に心は凪いでいた。

(今度は、もう少しいい皇妃になるから――だから)

 それは、レオンティーナの最後の願い。
 もう一度生まれ変わることができたなら。今度は絶対に失敗しない。
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