悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「姉様がいない間、お母様をしっかりお手伝いしてくれる?」
「……ん」

 レオンティーナの服を掴んだまま、ハイラムは首を縦に振った。

「いい子ね。じゃあ、行ってくるわ」

 弟の額にも口づける。名残惜しそうに、スカートを掴んだ指を一本一本離してから、ハイラムはレオンティーナの首に腕を回した。
 レオンティーナが両親に口づけているのを真似たかのように、両頬にぎゅうぎゅうと唇を押しつける。あまりにも強く押しつけられたので、頬がべたべたになったけれど、レオンティーナはそれも笑って受け入れた。

「……国境近辺は今のところ落ち着いているようだけれど、気を付けるんだよ。護衛は、ロニーがいるから大丈夫だとは思うが」
「ソニア、レオンティーナが無理をしないように気を配ってくれる? あなたの言うことなら聞くと思うの」

 父はレオンティーナに忠告を送り、母はソニアにレオンティーナを託している。

(……無理をするつもりはないのに)

 けれど、母の心配も最もかもしれない。両親と離れてひとり、仕事で出かけるというのは初めてだ。
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