可愛くないから、キミがいい【完】










――――なんて思うか、ばぁーーーーか!




今日の放課後は友だちとドーナツを食べに行く約束をしていたのに、さっきの男の子のせいで私だけ行けなかった。

よく知りもしない男の子とドーナツだったら、ドーナツのほうが何倍も大切なんですけど。



イケメンならまだ許せるけれど、よりにもよって全くタイプじゃない男。スマイル100円の価値もないくせに、しゃしゃりでないでほしい。

容姿に気を使わない人も、自分の外見に関心のない人もお断りだ。


美少女に告白できるのはイケメンだけっていう決まりは、いつできるのだろう。本当に、身の程をわきまえてほしい。



「ちっ、ほんとムカつく」



誰もいなくなった中庭で吐き出した舌打ちはけっこう響く。誰かに聞かれていたら天使失格だなあ、なんてことをぼんやり思った。



さっきの男の子が言っていた通り、私は最近付き合っていた人と別れたばかりだ。

振られた。

それも、吃驚するくらい最悪な流れで。


いままでたくさん付き合ったことはあるけれど、振られたことなんて、はじめてだった。

その人のことを思い出すと、まだ胸がムカムカするし苦しくなる。




どうして、わたしが振られなきゃいけなかったんだろう。美少女のことを、振るなんて、ありえない。

なんて、恋を失ったこと以上に、プライドをズタズタにされたことに腹を立てているわけだけど、このままでは、嫌だから、はやく次の恋がしたい。



条件は、イケメン、イケメン、イケメン。それと、スタイルもかなり重要だ。


性格なんてどうでもいい。

私の隣にいても恥ずかしくない人だったら、誰でもいい。






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