可愛くないから、キミがいい【完】
流行の曲、流行の歌手のを歌うより、あんまり人気じゃなくても自分の好きなものを選んでいるあたり、女受けも他人の評価もどうでもいいんだと思う。
ゴーマイウェイな感じ。本当はそういうのもツボだけど、これは天使らしくないツボだから見ないふりをする。
「なあ、しゅう、場所交換してくれない?」
あおいくんとお喋りしながらも、こっそり和泉君をうかがっていたら、和泉君が歌い出すタイミングであおい君がそんなことを言う。
サイアクだ。場所交換って、つまりはなほちんの隣が不満ってことで。
そういうデリカシーのない発言をする男の子って嫌だ。和泉君なら話は別だけど、あおい君にされると、もうゲンナリしてしまう。
なほちんには聞かれてないみたいで、それだけはよかった。
和泉君はなんて答えるんだろう。
ドキドキしながら、和泉君の返事を待つ。
このままじゃ、なほちんと和泉君がペアになってしまう。そんなのは、絶対に嫌だ。
自分より可愛くない人に結果的に負けたみたいになるなんて、無理。耐えられない。
「おい、しゅう、聞いてる?」
サビが終わって、少し長い間奏にはいったとき、和泉君が煩わしそうに私たちのほうへ顔を向けた。