可愛くないから、キミがいい【完】
そろそろ、白旗をあげるべきだ。
なぜか、歌う横顔を見つめていたら、
唐突に諦めの気持ちがでてきてしまった。
知らぬ間に積もったものが、
そろそろ溢れてしまう。
嫌いじゃない。心の底から和泉しゅうのことを私は嫌うことがもうできなくて、むしろ―――。
結論を出すことを拒んでいる時点で、
結論は出ている。
心臓と目に寄生したものの構成要素は、認めたくないけれど、本当に、認めたくないけれど、ほんとうの、恋、なのかもしれないのだった。
違ったらいいけれど、たぶん、違わない。
どうして、なんて、納得のできる理由よりも先に落ちてしまったものに、どうしたら抗えたというのだろう。
いつの間にか、今までとは違う自分で、絶対にありえないと思った相手に、惹かれている。
永遠に自分の気持ちにふたができるくらい、未熟でい続けられるわけではなかった。
悔しいけれど、認めなければいけないものが、ある。それくらいの度胸は、「可愛い」の武装をしていない自分のときであっても、ある。
和泉しゅうの歌う横顔を見ながら、ゆっくりと小さく頷いたら、雁字搦めになっていた気持ちが、容易く解けて、あーあサイアクだ、と思った。