可愛くないから、キミがいい【完】
こんなはずじゃなかったのに。
初っ端で崩れてしまった計画に、絶望する。
みんなに追いついたところで、もうすでにペアができているから、必然的に和泉しゅうと私はペアのままなのだろう。
カラオケの日は、必死に隣をキープしていたけれど、今は、和泉しゅうの隣なんて、これっぽちも望んでいない。
「お前、さすがにあからさますぎ」
「あっそう、ですか」
「ぼろ出したから、警戒してんの?」
「……あんたなんかさっさとどっか行ってよって思ってるの」
周りから怪しまれないような天使スマイルを浮かべながら、和泉しゅうにだけ聞こえる声で、思ったことをそのまま口に出す。
ひどくアンバランスだろう。
どちらも知っているのは、この世界で和泉しゅうだけだ。おかげで全然楽しめていない。
「あ、いちごあめだって。お前も食う?」
「いらないし」
「“みゆ、いちご好きぃ”じゃなかったけ。違った?」
わざとらしい高い声で、真似をされる。一ミリも似てないし、そんな言い方をした覚えもない。
本当に、ムカつく。ムカつく。ムカツク!
「そんなこと言ってないんですけど」
「いや、言ってただろ」
なんで、この前は全然つれない態度をとってきたくせに、今日は話しかけてくるの? なんで、この前より、私を見る目が嫌そうじゃないの?
そういう態度や視線とは相反して、和泉しゅうの口からは、嫌みばっかりがでてくる。
目つきの悪い顔が、微かに楽しそうに歪んでいた。おちょくるような態度で、ずっと私の隣にいる。
不思議で、不可解で、とても不愉快だ。