可愛くないから、キミがいい【完】
色んなバンドの演奏が終わって、休憩時間に入ったところで、私たちは体育館を出ることにした。
また入った時と同じペアに分かれてしまう。
残念なことに誰も体育館の中で声はかけてくれなかった。あれもこれもぜんぶ、和泉しゅうのせいである。
軽音部のライブの余韻もすぐに消え、歩いて、いろいろなところをまわる。手作り感満載のお化け屋敷に入ったり、ゲームをしたりした。
ずっと、和泉しゅうはムカツクやつのままだけど、次第に慣れてしまっている自分がいた。
今日我慢すれば、今度こそ二度と会うことがないのだから、ちやほやはされないけれど、耐えきろうと思う。
磨けば光る原石も、もともと光っているイケメンもちっとも私に声はかけてきてくれないけれど、全部和泉しゅうのせいだから、取り繕わずに彼に文句を吐き出すことで、ストレスを発散すると決めていた。
いつの間にか、完全に別行動になっていて、みんなの姿はどこにもない。それなのに、和泉しゅうは、気にすることもなく私の隣にいた。
もしかして私のこと好きなわけ?なんて、彼相手にはそんなこと思う気にもなれない。
どうせ、この男は、何にも考えてないのだ。
そういう顔だって、分かる。
ただ、学祭を楽しんでいるだけ。
「あ、俺、クレープ食いたい」
「みゆは、食べたくない」
「じゃあ、何、食べたいんだよ」
「たこ焼き」
「あー、じゃあ、買って来いよ。俺は、クレープ並ぶから」