可愛くないから、キミがいい【完】
「何が言いたいわけ?」
「俺、その映画好きなんだよ。お前、睨むとまんまその子だよ」
「喧嘩売ってるの?……ていうか、みゆの方が、この映画好きだし」
「別に、喧嘩したくねーよ、めんどくせえ。好きなんだ?知らなくて、そのコスプレやってんのかと思った」
本当にこの人は、カチン、とくる言い方をする。
和泉しゅう以外のその他大勢の男の子が相手だったら笑って受け流せることも、彼が相手だと無理なのだ。
いちいち、絶対にヘラヘラなんてしてやるもんかと思ってしまう。まだ、両の手が埋まらないくらいしか会ってないっていうのに、我ながらかなりの決意だけれど。
「一応言っとくけど、和泉君よりみゆのほうが映画も音楽も絶対にくわしいから」
「ほー」
「本当だし。最低、二日に一本はみるんだから。舐めないでほしいんですけど」
「最近、何見た?」
「昨日、アイアーマン見たし、その前はタルチーノの映画見たし」
「え、お前、アクションとかSFも見るの?つーか、グロいのいけんのが意外」
「いろいろ見ますけど、何か問題でもある?」
「別に。アイアーマンは、俺も好き」
「……あっそ」
「タルチーノのは無理。ホラーとかグロいの見れねーんだよ、まじで苦手」
「……へー、そういうの、ださいんですけど」
ホラーもグロ系も全然平気そうだし、むしろ好きそうなのに、意外だ。
毒を吐けて、少しだけすっきりする。
和泉しゅうは、うるせー、と私を見下ろして軽やかに笑ってきた。
階段をおりて、一番初めに向かったのはカステラを売っているクラスだった。
勝手に宣言したとおり、和泉しゅうがそそくさとカステラを買いにいって、私に渡してくる。
ゴミにも礼儀がモットーだったかもしれないので、どうも、と素っ気ないお礼だけはしておいた。
それから、そのすぐ近くにスタンプの置き場所を発見したので、渋々だけど教えてあげる。
さすが、天使だ。和泉しゅうなんかにも、少しだけなら優しくしてあげるられるのだから上等だと思う。