キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
そんなこと思いつかなかった。
まずは三階の職員室で古典のノートと日誌を提出した私は、階段で待っていた中江くんと合流する。
「持つよ」
「じゃ、カバン持て」
もうひとりでできるのに、別館まで付き合ってくれるらしい。
素直に任せて、無事に数学準備室に到着した。
先生の姿はなく机にノートを置いた瞬間、窓から吹き込む風で置いてあったプリントが散らばった。今日は朝から風が強い。
「マジか」
「あとはやっとく。ありがとね。遅れるから部活行って」
「それじゃ、そうする」
中江くんは迷いながらもそう返事をして部屋を出ていった。
「先生、窓閉めておいてよ」
このプリントは、おそらく明日の授業に使うものだ。
かき集めてそろえて机に置いたところで「柳瀬」という男子の声がした。
「はい」
「振り向かないで。恥ずかしいから、そのまま聞いて」
恥ずかしいって?