キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
これでも百五十八センチはあるんだから!と心の中で反発したけれど、たしかに身長百八十センチを超える彼と並ぶと見上げなければならない。


「うん。ありがと」


でも、不器用な中江くんなりの心配のし方なのかなと思い、口をとがらせつつ彼にもお茶を手渡した。



翌朝も朝から蒸し暑く、家を出る七時にはもう汗ばむほどだった。


「お母さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい」


キッチンと双子の妹、真奈(まな)の部屋を行き来している母は、せわしなく動きながら上の空で返事をする。

昨晩、喘息の持病がある真奈に発作が出て看病をしているからだ。

幸いあらかじめ処方されている薬で落ち着いた。


彼女はとてもかわいらしく色白で、真っ黒に日焼けしている私が隣に並ぶと「オセロみたいね」とよくつっこまれる。

幼い頃はいつもふたりで遊び、ケンカもしたけど基本仲がいい。

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