キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
ただ、私がマネージャーになってからは忙しくて、一緒に出かけることもなくなった。


私は母の代わりに父の朝食も用意して、自分のお弁当も作った。

といっても、そもそも朝が弱い私は寝ぼけ眼をこすりながらの調理で、冷凍食品満載だ。

真奈の体調が悪いことはしばしばでこうしたケースもよくあり、もう慣れっこになっている。


家を飛び出し、駅まで十分ほどの道のりを小走りで駆け抜けた。

学校までは電車に十五分揺られてそこから徒歩で十分。
部員の中では比較的近いほうだけど、少しでも早く行って準備をしたい。


夏休みの間の練習は八時半からで、いつも七時に始まる朝練よりはましなのだが、満員電車がきつくて苦手だ。

ドア近くで小さくなっていると、人をかき分けて中江くんが姿を現した。


「おはよ」
「ん」


あいさつをしたのに彼は生返事で、その代わり私の肩にかかっていたバッグを奪っていく。

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