先生がいてくれるなら②【完】
「俺は言ったはずだ、明莉を泣かせたらぶっ飛ばすって!」
──あぁ、そんなこと言ってたな。
でも俺が泣かせたんじゃねぇから。
それに────
「倉林。残念ながら、お前がそれを言う権利は無いよ」
そもそも先にアイツを泣かせたのはお前だからな。
お前はあの監禁暴行事件を知らないからそんな事が言えるんだ。
立花が『絶対に言わないで』って言うから今まで黙ってたしこれからも言うことは多分無いと思うけど、アイツがあんな怪我をして真っ暗な倉庫に閉じ込められた真の原因は、倉林、お前なんだよ。
黙っててくれと言った立花に感謝しろよな。
そんな俺の心の中での呟きを倉林は知るよしも無い。
「は? 意味分かんねぇ! 俺は関係ねーだろ!」
「……うるさい、もう出て行け。お前に話す事はもう無い。部活に行って球蹴りでもしてろ」
俺の言葉に逆上したのか、倉林が立ち上がった際に倒れてしまったパイプ椅子を蹴飛ばして、椅子がガシャンと大きな音と共に床を滑った。
「……椅子を蹴れとは言ってない。暴れるなら外でやれ」
俺の大事な部屋でそう言うのヤメロ、摘まみ出すぞ。
俺が睨んでも倉林は鼻息荒く突っ立ったまま、俺を睨み返している。
本当に面倒なヤツだ。
「……そんなに立花のことが好きなら、お前が付き合えば良いだろ?」
俺が挑発するようにそう言うと、倉林は奥歯をギリっと鳴らして「それが出来りゃ、こんなトコ来ねぇよ!」と言って今度は長机に拳を振り落とした。
……この暴力男、本気で放り出してやりたい。
「どうせ立花から別れた理由を聞いたんだろ? だったらお前が付き合ってやれば良いんじゃねぇの?」
俺がそう言うと、倉林が詰め寄って来て乱暴に胸ぐらを掴んで俺を立ち上がらせた。
俺の身体がグラリと揺れる。