俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
「野原さん何持ってるんですか?」

二人のやり取りを見ていた向井が、一花のデスクに置かれた紙袋を見て問う。

「あー、えっと、向井さんにあげます。社長は甘いものお好きじゃないので、お一人で召し上がってください」

冷たく言い放つと、一花は紙袋を向井に差し出した。向井はそれを丁寧に受けとり中を覗く。

「あっ、これって若竹菓子店のじゃないですか。どうしたんですか?」

「7月限定の羊羮なんです」

向井が包みを開けると、青と紫の美しいコントラストの中にキラキラと輝く天の川が現れた。

「すごく綺麗ですね。では切り分けていただきましょう。野原さんもこちらへどうぞ」

向井は手際よく包丁と取り皿を用意すると、隣接する応接室のテーブルに並べ始める。
お皿は二枚、ちょうどいい和食器に切り分けた羊羮を置くと、上品で高級感が漂う。

「わあ、素敵」

「食べるのがもったいないくらいですね」

一花と向井の楽しげな声が柳田の耳にも届き、柳田は眉間のシワを更に深くして自分も応接室へ赴く。

「おい待て、俺も食べる」

「社長は甘いもの嫌いなんですよね。無理しなくていいです」

「お前っ、嫌いなんて言ってねーよ」

一花と柳田のやり取りに向井は人知れずクスクスと笑いながら、取り皿をもう一枚用意した。
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