俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
一花のアパートの前に車を止めると、朝とは雰囲気が大分違って見えた。薄暗い街灯がひとつあるだけで、静寂が妙に怖い。アパートの横には自転車が乱雑に置かれている。

「お前、やっぱりここは危なくないか?セキュリティどころか、暗すぎるだろ?」

「社長にはそう見えるかもしれませんが、これくらい普通でしょ?まあ確かに先日この道でひったくりがあったみたいですけど。でもそんなのどこだって一緒……」

「ダメだ、引っ越せ」

「は?」

「一花をこんな危険なところに住まわせるわけにはいかないだろ?」

「危険なんてないです。それに、そんな簡単に引っ越せるわけないでしょう?社長じゃあるまいし、引っ越し代金いくらか知ってます?」

「金の問題なら俺が出す」

「意味不明です」

「俺は一花を心配しているんだ」

「余計なお世話ですよ。パワハラです」

「じゃあどうしろって言うんだ。俺の家に住まわせれば文句ないか?」

「セクハラだし考え方がズレて……ああもう、帰りますね。送ってくださってありがとうございました」

不毛な言い合いをしていることに気づき、一花は逃げるようにドアを開ける。

「ありがとうございましたっ!」

きちんとお礼だけは伝え、柳田に捕まる前に一目散にアパートの中へ消えていった。
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