身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「紗衣、少しだけ待ってくれ。きちんとけじめをつける」

菖悟さんのまっすぐな声に、私は弾かれたように喉を震わせる。

「だ、だめです。菖悟さんは川嶺さまと幸せになってください」

「俺が好きなのはおまえだけだ」

「っ、川嶺さまは、菖悟さんにほかに好きな人がいてもいいと……、だからっ……」

私は川嶺さまの言葉を思い出し、必死に訴えた。

今ここで彼らがうまくいかなれば、何もかもが無意味になってしまう。

「はぁっ? いいわけないでしょ? 調子に乗らないで! あなたなんか、菖悟さんに近づけるような人じゃないの!」

けれど私の言動が不快だったのか、川嶺さまは怒気を漲らせた。

荒っぽい音を立てて椅子から立ち上がり、私にブランドバッグをぶつけてくる。

「……っ」

「紗衣!」

< 136 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop