身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「……ふぅん?」

けれど私がお酒を断ったのが不服だったのか、高須賀さまは憮然とした面持ちになってしまった。

支配人とソムリエが退室しふたりきりになると、私は高須賀さまに「あの、お話したいことって?」とすぐに水を向けたが、「話は食事のあとだ」と一蹴されてしまう。

日常を忘れるような贅沢三昧のフルコースは、最後のコーヒーと焼き菓子が出てくるまで一時間半を要した。

けれど私はテーブルマナーの違反していないか不安で、正直味わう余裕はなかった。食後に待っている高須賀さまの話が気になっていたのもあり、料理の記憶すらほとんど残っていない。

しっかり頭を働かせるため、私はティースプーンに載せた角砂糖をふたつ、コーヒーカップに沈める。

「遅くなったが昨日、沙絵と彼女の両親が俺の実家に謝罪にやってきた」

カップを持ち上げながら、高須賀さまがおもむろに話し始めた。

私は固唾を呑んで耳を傾ける。
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