身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
私はお客さまと打ち合わせのため事務所を出ようとしたところ、めまいを起こして意識を失ったのだ。

「あ、気がついた。大丈夫? 緊急事態だったから上がらせてもらったよ」

傍らにいた北瀬マネージャーが、私の顔をのぞき込んだ。

とっさに体を起こそうとすると、それを彼に遮られる。

「まだ寝てなきゃだめだよ。さっきまで里谷さんもいたんだけど、仕事に戻ってもらったとこ」

里谷さんとはあいりちゃんのことだ。

「さっきお医者さまに来てもらったけど、貧血と睡眠不足じゃないかって」

「すみません、私、ご迷惑をおかけして……」

私は申し訳なさも相まって、頭がクラクラした。

「いや、僕のほうこそごめん。今井さんが働きすぎだって気づいてあげられなかった」

「いいえ、私が自己管理できていなかっただけです」

彼が詫びる必要はまったくなかった。倒れてしまったのは、ひとえに私が自分の体力を過信し、無理をしすぎた結果だ。
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