身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「よく眠れば大丈夫だってお医者さまは言ってたけど、明日になっても体調が戻らなければ病院に行くようにね。明日は有給にしておくから、ゆっくり休んで。簡単に食べられそうなものを冷蔵庫に入れておいたから、おなかが空いたら食べてね」

「何から何まですみません……」

私は北瀬マネージャーに頭が上がらなかった。この恩はいつか絶対仕事で返そうと誓う。

「あ、そうそう。高須賀には一応連絡を入れたけど、ここに押しかけてこないように言ってあるからね。あいつがいると気を遣うだろうし、ひさしぶりにひとりで寛ぐ時間も必要だと思うから」

彼はそれだけ言うと、すぐに帰っていった。私が疲れないように配慮してくれたのだろう。

ベッドに横たわったまま、ぼんやり天井を眺める。ひさしぶりに帰宅したワンルームはとても落ち着いた。ここを解約していなくてよかったと、不意に思う。菖悟さんがいると気を遣うわけではないけれど、彼に面倒をかけたくなかった。

それに菖悟さんは私を心配してくれていたのにこんなことになって、合わせる顔がなかった。不甲斐ない自分が情けない。これでお客さまに迷惑をかければ本末転倒だった。もっとしっかりしなくちゃいけない。
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