I want to...

深月side

僕は10年ぶりにハルちゃんと再開した。

10年前別れるときまたねって言ったけど、彼女はもう会えないと悟ったような顔をしていた。

当時僕の父が主治医だったこともあり、彼女がどんな状態なのかというのは父の顔を見れば分かっていた。

それでも、僕は別れるときまた会いたいと心から思っていた。

だからこそ勉強は常に1番。

18歳の時点で日本の大学の医学部に編入も考えた。

でも、それでは本当に彼女を救えないのではないか…

そう思いアメリカに留まった。

そしてようやく、研修医という形ではあるが戻ってこれた。

本当は3月1日にはこちらに戻っている予定だったのだが、アメリカでお世話になった大学病院の勤務が28日までに伸びたため4月1日にギリギリだった予定をどうにか切り詰めて昨日かえってきた。

ハルちゃんが、長いこと病院生活をしていることは父から聞いていた。

それでも、僕は彼女に会えたことが何より嬉しかった。

10年越しの片思いが遂げられるという希望を持った。
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