その手をつかんで
花束を差し出したままでいる蓮斗さんに疑問を投げかけた。


「蓮斗さんはゆかりさんと結婚するのだと思っていました。昨日も一昨日もゆかりさんのところに行ってましたよね? 今後のこと、結婚の話を進めているのかと……」


私だけではなく、社員の誰もが推測して噂していたことだ。


「その噂は俺の耳にも届いている。明日花には、噂ではなくて俺の言葉を信じてほしい」

「蓮斗さんの言葉を?」

「うん、そう。うちの親もゆかりさんの親も俺とゆかりさんの結婚を望んだ。ゆかりさんは受け入れていたが、俺は反論した。気持ちのない結婚はしたくないとね。俺は好きな人と結婚したい。俺が好きなのは、明日花だよ」

「私?」


彼は大きく頷いて、微笑んだ。

真っ直ぐと伝えられる気持ちは、信じられる。

でも、私でいいのかと不安になった。


「私、ふさわしくないですよ。私とでは会社にとって良いことは何もないです」

「会社のために結婚するんじゃない。自分が幸せになるために結婚するんだよ。明日花と幸せになりたい」

「私と幸せに?」 

「うん。絶対幸せにするから、結婚してくれないか?」
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