その手をつかんで
カップを置くと、蓮斗さんが戻ってきた。彼は手を後ろにしている。

何かを持っているみたいだけど、何だろう?


「明日花」

「はい?」


蓮斗さんが座らないから、私も立った。真剣な表情で見つめられて、ただ見つめ返す。

本当に何だろう?

なんだか緊張する……。


「これ、受け取ってもらえる?」


蓮斗さんが隠し持っていたのは、赤い薔薇の花束だった。

いきなりなぜ花束?

差し出されても、受け取れなくてキョトンとしてしまう。


「えっと、意味わからないかな?」


私がコクリと頷くと、信じられない言葉を口にした。


「結婚してください」


目を見開いて、花束と蓮斗さんを交互に見る。


「えっ、結婚?」

「え、ダメなの?」

「いえ、ダメでは……ビックリしてしまいまして……本当に私と?」

「もちろん、君とだよ。明日花とどうしても結婚したい。頼む、受けてくれないか?」


蓮斗さんは懇願するけど、私はまだ受け取れず……必死に脳内を整理した。

どうして、こんなことになっているの?

これ、プロポーズだよね?

どうして……。
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