その手をつかんで
蓮斗さんは私の心を見透かすかのよう、じっと見つめた。彼の澄んだ瞳はきれいで、目が離せなくなる。


「俺も幸せだよ。それなら……初夜を前にして、緊張してるのかな?」

「初夜……あ、はい……そうですね。緊張しています」


初夜のことは昨日まで考えていた。でも、美味しい料理に満足して、忘れかけていた。蓮斗さんに言われて、心臓の動きが速くなっていく。

これから、どうするのだろう。

まずは食べ終えた物を片付けてもらって、それからシャワーを浴びるのかな……?

ってことは、今から何をしたらいい?


「明日花」

「わっ、いつの間に……」


あれこれと脳内で考えている間、蓮斗さんは私の後ろに移動していた。

背後から抱き締められ、首筋と頬にキスをされる。彼のぬくもりを感じながら、顔を斜め後ろに向かせた。

顎に軽く手を添えられて、目を閉じる。重なり合う唇から体がじんわりと熱くなる。

蓮斗さんとのキス、甘くて好き。とろけていく……。
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