その手をつかんで
現在24歳の私たちと同じ年齢くらいの看護師は、赤ちゃんを瑠奈に渡してから、柔らかな笑みを浮かべた。

白衣の天使という言葉がぴったりのかわいらしい女性で、失礼ながらマジマジと見つめてしまう。


「なにかありましたら、ご連絡くださいね」

「はい、ありがとうございます」


ふたりのやり取りをぼんやり眺めていると、看護師に会釈された。私が同じように頭を下げると看護師は、出ていく。

瑠奈が腕の中の赤ちゃんをこちらに向けて、お披露目してくれた。

淡いピンク色の服を着た赤ちゃんは、つぶらな瞳で私を見る。


「うわー、かわいい! 咲里奈(さりな)ちゃんだっけ? こんにちは」

「うん、そう。咲里奈ー、明日花ちゃんだよー」


生まれたばかりの赤ちゃんに言葉は、まだ理解できない。雑音として、耳に入るのかもしれないけど、母親である瑠奈の声は把握しているに違いない。

瑠奈に抱かれて、おとなしくしているのは、安心できる温もりからなんだろうな。


「ほんと、ふにゃふにゃしていてかわいいね。ずっと見ていても飽きないし、癒される」

「明日花、抱っこしてみる?」

「わっ、いいの? 大丈夫かなー、泣かないでね」
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