その手をつかんで
瑠奈が騙されていないと何度説明しても聞く耳持たず。お父さんを納得させることが出来なくて焦っているうちに、私が来る時間になった。
瑠奈は私を傷付けたと、涙声で謝った。
瑠奈も苦しんでいたのがわかったから、責められなかった。蓮斗さんとは関わらないと決意したけれど。
でも、瑠奈からのお願いを聞いて閉口する。
「あれ? 明日花ー、聞いてる?」
「あ、うん。聞いてたけど、それは受けられないよ」
「でも、明日花にしかお願いできないの。明日花が作ったと言わないし、お兄ちゃんと鉢合わせしないようにするから……ダメかな?」
瑠奈は蓮斗さんへのケーキを作って欲しいと言ってきた。
瑠奈に頼まれると、強くダメとは言えない。瑠奈を助けるために作ってあげたいとは思うが、蓮斗さん用となると安易に引き受けられない。
高校卒業後から毎年瑠奈が蓮斗さんの誕生日プレゼントにチョコケーキを作っているのは、知っている。今年もあげたいけど、咲里奈ちゃんのお世話をしながらでは難しい。
どうしたらいいかと悩んで、誰かにお願いしようとした。
私以外に作れる人はいるけれども、頼める人がいない。同じ大学出身の人ならほぼ作れるのだが。
瑠奈は私を傷付けたと、涙声で謝った。
瑠奈も苦しんでいたのがわかったから、責められなかった。蓮斗さんとは関わらないと決意したけれど。
でも、瑠奈からのお願いを聞いて閉口する。
「あれ? 明日花ー、聞いてる?」
「あ、うん。聞いてたけど、それは受けられないよ」
「でも、明日花にしかお願いできないの。明日花が作ったと言わないし、お兄ちゃんと鉢合わせしないようにするから……ダメかな?」
瑠奈は蓮斗さんへのケーキを作って欲しいと言ってきた。
瑠奈に頼まれると、強くダメとは言えない。瑠奈を助けるために作ってあげたいとは思うが、蓮斗さん用となると安易に引き受けられない。
高校卒業後から毎年瑠奈が蓮斗さんの誕生日プレゼントにチョコケーキを作っているのは、知っている。今年もあげたいけど、咲里奈ちゃんのお世話をしながらでは難しい。
どうしたらいいかと悩んで、誰かにお願いしようとした。
私以外に作れる人はいるけれども、頼める人がいない。同じ大学出身の人ならほぼ作れるのだが。