結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】
部屋に入ると、日本庭園を一望できる大きな窓を背に、眼鏡をかけてダークブラウンの落ち着いたスーツを着た白髪の男性がいた。
穏やかな顔でおじいちゃんと談笑している彼が、優秀な旧友と言っていた人だろう。
そしてその横に座り、私を見ていたのが――。
「……え?」
驚きすぎて、錦のバッグを落としてしまった。
どうして彼がここにいるの?
もしかして私、車の中で眠っちゃって、いまは夢の中だったりするのかな?
彼がゆっくりと立ち上がり、私の落としたバッグを拾ってくれた。
「仁葵ちゃん……」
切なそうな、申し訳なさそうな、ばつが悪そうな、複雑な顔で私を見つめているのは、間違いなく、飛鳥井狼くんだった。