ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


「なに?」

「おーちゃんのことだけど」


わたしたち以外には誰もいないというのに、美月は声を潜めて続けた。


「最近どうなの?」

「どうって……」

「どうなの」


強く訊かれて、わたしは絞り出すように答えた。


「……告白、した」

「えっ」


美月は目を丸くして、わたしを見つめた。


「……付き合うことになったの?」

「そういう、わけじゃ……」

「……そう……」

< 114 / 405 >

この作品をシェア

pagetop