ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
事情を知ったおーちゃんは、わたしたちをとても気にかけてくれて。
3人で過ごす日々は、お姉ちゃんさえそばにいてくれればいいとふさぎ込んでいたわたしの心を、だんだんとほぐしていった。
お父さんとお母さんがいたころみたいに、寂しくなくなって、もう一度幸せになれた。
呑気にそんなことを思ってしまっていたんだ。
……もっと、お姉ちゃんがどんなに大変な思いをしているか、考えてあげられたらよかったのに。
わたしの高校受験と、お姉ちゃんの大学卒業と、就職と……たくさんのものが重なってしまって、お姉ちゃんは、とうとう倒れてしまった。
そのとき、階段から落ちて、頭を強く打ってしまったのだとお医者さんが言っていた。