ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-

——お姉ちゃんがこうして眠り続けてから、もうすぐ1年が経つ。

わたしが今、ほとんどおーちゃんの家で生活をしているのは、わたしの保護者であるお姉ちゃんが、こうして入院してしまったからだ。

家にひとりぼっちになってしまったわたしを、おーちゃんは「おいで」と手を引いて、自分の家に招き入れてくれた。



7年前。
お父さんとお母さんが、事故でわたしたちを残していなくなってから、お姉ちゃんはずっと、たったひとりでわたしの面倒を見てくれていた。

親戚の人たちが一緒に暮らそう、と声をかけてくれたけれど、まだ幼かったわたしは、お父さんとお母さんとの思い出がつまったあの家から、どうしても出たくないと駄々をこねてしまったんだ。

……そうして、二人暮らしをはじめて少し経ったころ、わたしたちはおーちゃんと出会った。
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