桜色に染まる。
「綺麗な髪の毛…それから…綺麗な…指。」

ギアをいじる私の手に、彼が手を乗せ……指をからめる。

「ねっ…事故るからっ…ちょっと…」

「ほら…ちゃんと前見て?」

彼の大きな手のひらが、私の手に覆いかぶさり…包み込んでいく。
それだけで、私の体は跳ね上がりそうな程に熱を持つ。

「はいっ!!到着ですよ?!」

払い気味に手を振りほどく。

(だめ…このままじゃ絶対だめ。)
わかってる。わかってた……

「ごめん、我慢できない。」

視界が……塞がって……

唇に暖かい感触。

「やっ…だめだっ……てばっ…」

こんな時、女の子は非力なんだなあ、と冷静な自分が居ることに驚く。

「でも、俺は後悔してないよ。ずっとこうしたかった。今日一日中、ずっと触れたかったんだ。」

力強く抱きしめられ……私の心はもう…完全にとろけてしまった。
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