お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
第六章 偽りの愛
次の日九条家の執事である平野さんが私のアパートにやってきた。

「突然申し訳ありません、この度初めて誄様のお見合いのお相手より、是非話を進めて欲しいと嬉しいお返事を頂きました、ですから九条家のためにもう誄様とはお会いにならないで頂きたいのです」

私はしばらく言葉を発する事が出来ずにいた。

「みくるさんには新たなお仕事をご紹介致します雇い主のお方と会ってください、そして二度と誄様には近づかないと約束してください」

「わかりました」

私はやっとの思いで返事をした。

誄さんを忘れなくちゃ、私には相応しく無いんだから・・・

後日私は新しい雇い主と会うことになった。

「はじめまして、海堂慎と申します、IT会社を経営しています、四十五歳独身です」

「冬紀みくると申します」

「九条家執事平野さんから事情は伺っております妊婦さんとのことですが、シングルマザーで間違いありませんか」

「あ、はい」

「じゃあ、僕にもチャンスはあるかな」

私は目をパチクリして戸惑った。

「あ、あのう、お仕事の内容をお聞かせ願えますか」

「あ、そうだったね、病院に入院中の僕の母の話相手になってほしいんだ」

「お母様の話相手ですか」

これなら妊婦の私にも出来そうだと思わず頬が綻んだ。
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