お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
「母は認知症を患っていて、残念ながら僕を息子と認識出来なくて、全く心を開いてくれなくて困っているんだ」

「そうなんですか、でも私もお役に立てるかどうか自信ないです」

海堂さんはニッコリ微笑んで私を見つめた。

「大丈夫だと思うよ、みくるさんは物腰が柔らかいし、なんか話してみたいって思う感じだから」

「ありがとうございます、精一杯頑張ります」

海堂さんは真顔になり、私に尋ねた。

「プライベートな事聞いていいかな」

「はい」

「九条誄とはどう言う関係?」

私はちょっと戸惑ったが、真剣な海堂さんの言葉に真実を打ち明けた。

「身の回りのお世話をすると言うお仕事をさせて頂いて、誄、いえ社長のお宅に住み込みで雇い入れて頂いていました」

「それで?」

「それで、妊娠がわかって平野さんが妊婦は雇い入れは出来ないと反対されたんですが、社長がそれなら個人契約しようと言って下さって、私の食事をすごく褒めて頂いて」

「お腹の子供は九条誄の子?」

「違います」

「そうか、個人契約しようと思う位みくるさんを手放したくなかったんだね、九条誄は」

「あ、あのう、私の手料理をすごく気に入って下さったんです」

「それだけ?」

海堂さんは私の顔を覗き込んだ。
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