お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

1DKと、決して広くはない部屋は日当たりがよくてお気に入り。駅から歩いて五分というのもありがたい。

果歩が三階建てアパートのエントランスに差し掛かったときだった。背丈の植え込みの陰からいきなり人が出てきたため、驚いて足がすくむ。


「果歩」


名前を呼ばれてドキッとする。


幸人(ゆきひと)!?」


現れたのは半年前に別れた元彼、春日(かすが)幸人だった。
嘘。どうしてという気持ちが先行する。


「久しぶりだな」
「なんでここがわかったの!?」


以前住んでいた部屋は引き払い、一度実家に戻ってからここへ越したため幸人が知るはずはない。それがなぜ……。


「なんでって、そんなのどうでもいいじゃないか。強いて言うなら愛の力ってやつ?」
< 60 / 151 >

この作品をシェア

pagetop