結婚から始めましょう。〜SIDE 蓮〜
「もちろん。誰に何を言われようとも、心を揺さぶられたのは拓馬さんだけ。彼以外の人なんて、考えられなかったもの」

この人は、息子の自分にも平気で惚気てくる。気恥ずかしいからやめて欲しいけれど、こういう話を散々聞かされているうちに、この両親の姿こそ、自分の理想の夫婦だと思うようになっていた。

「聞いてる?蓮」

思いを巡らせているうちに、痺れを切らした母が少し大きな声を出した。

「聞いてますよ」

「まあ、私達のことはいいのよ。それでね、聞き方を変えるわよ。
蓮、あなた結婚する気はあるの?」

この聞かれ方は初めてだ。
おそらく、南田の報告に少なからず焦りを感じたのだろう。

仕事では冷静沈着な母だけれど、息子のこととなると途端に人間味が増してくる。


「それは……ないこともないですけど」

「もう。回りくどい言い方ね。
いい、蓮。あなたももう35歳よ。結婚どころか、お付き合いしている方の話すら一切ないって、どうなのよ!?」

そう言われても、それが事実なのだから仕方がない。

「どうと言われても……」

「あなた、南田さんにアドバイザーさんの名刺をもらったのよね?」

「ええ、まあ」

 

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