ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 その時、青弓亭の扉がノックされた。

「ん? 誰だろう」

 閉店していることがひと目でわかるはずなのに、とルディが扉を開けると「殿下、これを」という低い声とともに彼の手に手紙が手渡された。

「では失礼」

 声の主はすぐに気配を消した。どうやら王都に放たれた王家の諜報部員だったらしい。
 あまり人前に姿を出さない彼らなのだが、サランティーナ王妃に遠慮なくこき使われていて、時々こうして郵便屋さん代わりにされてしまうのである。

「ルディさん、また影の人ですか?」

「ああ。今日はおやつではないが」

 そう、影の任務につく諜報部員は子猫にとっては『ギルおじいちゃんからの美味しいおやつを届けてくれる影の人』でもあった。
 ギルおじいちゃんとはすなわちギルバート前国王であるから……スカイヴェン国は平和なようだ。

 封筒を開けて手紙を読んだルディは「やれやれ、母上は相変わらずマイペースだな……」小さなため息をつくとエリナに言った。

「エリナは、明日は特に予定はなかったな」
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