Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 芹澤さんはわたしのほうを向いて「ごめん」と言って、頭を下げた。
「すまなかった、疑ったりして。許してほしい」

 なるほど、そういうことだったんだ。
 わたしを迎えるために散財したのも、管理がずさんな宝石のことも、リスク回避の対策だと言われれば納得できる。

 逆にそこまで慎重な人なら信頼できる、とも思った。

「あの、もう頭を上げてください。まったく気にしてませんから」

 芹澤さんはゆっくりと顔を上げた。
「リスク……か。確かにそうですよね。赤の他人と暮らすんですから。わたしも今日、芹澤さんにお会いするまでとても心配でした。もしかしたら、人が変わったようになって酷いことをされたりするんじゃないかって」

「それで? まだぼくのこと、疑ってる?」

「いえ、まったく。今日、お会いした瞬間に心配は解消しました」

「じゃあ、ぼくを信用してくれたってことだね」
「はい」
「お互い、誤解が解けてよかった」
 芹澤さんはにっこりと微笑むと、ワインを口にした。
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