Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 はい?
 その言葉を聞いて、わたしは思わず声をはりあげた。

「えっ、じゃあ、わたしが盗みをするんじゃないかって、疑ってたってことですか?」

 芹澤さんは頷いた。
「結果的にはそういうことになるね。こちらが依頼したとはいえ、縁もゆかりもない人とルームシェアするのは、ぼくとしてはとてもリスクの大きな賭けだから、それなりの保険はかけておかないと、と思ってね」

 それで、あんなところにあれだけの数の宝石を……

 ああ、それからと、芹澤さんはふっと笑うと、わたしを見た。

「もうひとつの可能性として、きみがぼくを誘惑するんじゃないかとも考えたよ」

 へっ?
「ゆ、誘惑……ですか」
「そう。玉の輿狙いで。世間知らずでお人よしの御曹司を手玉に取ろうと……ね」

 芹澤さんはそこまで言うと、改めてわたしを正面から見据えた。

「でも、きみはそのどっちでもなかった。それどころか、高額なギャラを投げ打ってでも、ぼくが目的を果たすことを第一に考えて、別の人に変えてと提案してくれた」
 彼は目を細めて、わたしを見た。

「それで合格……」
「ああ、百点満点でね」
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