転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
車窓を流れる緑はうっそうとして、その向こうに海がちらちら見える。

舗装されていないなだらかな斜面を上る馬車は、岬に立つ灯台を目指していた。

「レミリア様、もうすぐです。しかめっ面をしないで景色を楽しみましょう。海がキラキラしていますよ」

そう言ったエマだが、ちっとも景色を見ておらず、レミリアの髪やデイドレスのチェックに余念がない。

フリルのひだをせっせと整えているエマに、レミリアは呆れのため息をついた。

(パーティーに行くわけでもないのに、おめかししても意味がないでしょう……)

今朝、エマが突然『ピクニックに行きましょう』と言い出した。

灯台から海を眺めるという提案をしたのもエマである。

引きこもりたいレミリアにとって、はっきり言って迷惑な誘いであったのだが、なぜか承諾してしまった。

(どうしてかしら。エマの言うことに従わなければならない気がするのよ。私を淑女にしようと一生懸命尽くしてくれるから断りにくいのかしら。ううん、それだけじゃない。ここ最近、なにかに行動を操られているような、不思議な感覚を覚えるのよね。まるで私の人生に筋書きがあるかのような……)

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