転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
レミリアの声だけ聞こえないのは、困惑しているためかもしれない。

王太子が青バラを握り潰した一件が、まだレミリアの心に影を落としている。

あれから一度も会っていないのに、連日のようにアクセサリーやドレス、高価な小物などを贈られて、自分の気持ちの持っていき方に苦慮しているのが窺えた。

(レミリア様は王太子殿下を慕っている。でも怖いとも思っているみたい。仕方ないよね。私は王太子の出生の秘密を知っているから、彼が青バラを握り潰した意味を理解できるけど、レミリア様はなにもご存知ないから……)

教えた方がいいだろうかと思ったこともあったが、レミリアをかえって危険に曝しそうなのでやめた。

エマなりに今後のストーリーを予想してみたところ、レミリアが王太子の秘密を知るか知らないか……いや、知っていることに気づかれるかどうかが鍵になってくると思われた。

バッドエンドであるレミリアの処刑には、それ相応の理由が必要であろう。

出生の秘密を外部に漏らさぬために、国家的機密情報を盗んだスパイ罪とでも理由をつけるのではないだろうか。

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