平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
『女王が受け入れた、幸運の娘を守るのだ』

どこかずっと遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。それは夜の世界の中、山々を超えて獣騎士団の建物まで響いていく。

ただの夢だ。

カルロがぴくりと耳を立て、美しい紫色(バイオレット)の目に夜空を映しただなんて。

獣舎で就寝していたコーマックの相棒獣たちが、次々に目を覚まし、人間に知られないよう静かに、畏れ、敬い、遠くの山へ向けて頭を垂れているだなんて――。

そんな光景が、夢を見ているリズの目の前を、ぼんやりと過ぎていく。

『リズ。あなたの望みは、なんですか?』

ふと、コーマックに似た声が頭の中に響いた。

振り返ってみれば、そこには彼の、女性的な品を漂わせた優雅でとても美しい相棒獣の姿があった。

――私、何も望まないわ。

みんな、どうか怪我をしないで。健康で、元気でいて。

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