平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
ジェドが、リズの指先へ口付ける感じのシーンが見えた。

直後、観客席から黄色い声と、うっとりする吐息がこぼれる。けれどジェドに集中させられて、リズは気づいていない。

「今っ、今! 何か起こったんだな!?」

ニコラスが再び騒ぐ。

「お子様が見るには、少々刺激が強いかと」

「うおおおぉぉっ。親友のいい感じのラブラブは、ぜひとも見守りたいぞ!」

「あとで、こっそり秘密に教えてさしあげますから」

専属の護衛騎士の立場として、エドモンドは小さな主人にそう約束した。

パフォーマンスを終えた両軍が、続いて互いの部隊について情報交換がてら交流する。戦闘獣と軍馬の紹介などもし合い、規定の時間でもって全員が握手を交わして退場していった。

リズだけは、カルロがそばについていて握手はされなかった。

「まぁ相手は屈強な軍人だ。リズは小さいしな!」

見届けたニコラスが、あっけらかんと感想を口にした。

小さいではなく華奢なのでは。ちらりとそう思ったものの、優秀なエドモンドは小さな主の上機嫌に水を差すまいと、空気を読んで指摘を慎んだ。

さて、約束通りニコラスに教えなければならない。

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