平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「ははは、ジェド団長がぞっこんというのは、本当だったんですなぁ」

若い副官が、恋人同士のさまに頬を染める。その初々しさに笑った部隊長は、実に構わないと朗らかな言い方をした。

お願いだから、もう解放して欲しい。

リズは片腕で抱き締めてくるジェドの腕の温もりで、頭の中がいっぱいになって思った。相手の軍の部隊長以外、恥ずかしそうにしている。

それを相棒獣たちと共に見守っているコーマックたちは、うわー……という言葉が表情に出ていた。

「団長、少し手を握られたくらいなのに、心が狭いですよ……」

「リズちゃん可哀想」

「どんまいリズちゃん」

引き攣り顔のコーマックの呟きに、部下の獣騎士たちが感想を続けた。



※※※



その頃、会場の中央がよく見える関係者用の立ち見席。

「一体どうなったんだ!? 何が起こった!? 何も見えんぞエドモンド!」

幼獣で両腕が塞がっているニコラスが、そう騒いでいた。

叫ぶ彼の後ろから、ご丁寧にも目隠ししているのはエドモンドだ。彼の視線の先には、残った観客に大注目されているジェドとリズのいちゃつく姿がある。

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