黙って一緒に堕ちてろよ

それは、教室では日常的に見られる光景で。


変わったのは、私と彼の距離だけ。


「岩倉さん、だって。……ふ、いい子ぶっちゃって。気持ち悪」


教室を出て扉を閉めた私は、ぽつりとそうつぶやいた。


心なしかさん付けもわざとらしく聞こえる。


心にたまった重いもの。吐き出しても軽くなんてならずに、うずいて余計に苦しくなる。


それなら、それならさ、


「いらないから、捨てちゃえ」


苦しいだけなら、いらないからさ。


面白くなくなったらもう用済みだからさ。


私は、彼との接点だった写真を、


彼から目を背けるように、





震える指で、消去した。
< 119 / 156 >

この作品をシェア

pagetop